お得すぎる関内の自然食料理や『伊勢もと』のお疲れさまセット

しょっちゅう関内~桜木町当りをうろうろ歩き回っているくせにに、ルート的に全く歩いて通ることがなかった、馬車道~桜木町のバス通り。
先日、何年ぶりかに歩いて通った時に、通り過ぎかけたんだけど、気になりすぎて戻ってまで、確認してしまった料理やさんに初訪問。
暗い雑居ビルの並びにこうこうと電気の付いた看板には「21世紀の食文化を提唱する MOA小浄院 伊勢もと」
気になりすぎた店頭の張り紙?お品書き?
看板の文言の怪しさもさることながら、戻ってまで確認したくなった張り紙がこちら。
年季の入ったくしゃくしゃの色褪せた紙に達筆で書かれたお品書き?
エビスビールではなくて、”ヱビスビル”なのはさておき、
飲物1品+おつまみ5皿+おにぎり付で”税込1000円”
めっちゃ安いんだけど、5皿ってどんなもんが出てくるんだろー?
外からじゃ、他のメニューは一切出てなくて、想像できる情報が何もない。
普通、お疲れさまセットとかほろ酔いセットとかのサービスセットって、おつまみ3品がいいとこだし、お通しみたいなちょこっとした惣菜が5品ついてくるぐらいかなー?それでも、最後に〆のおにぎりまでついてくるなら、かなりお得なことは間違いない。
ガラスのドア越しに店内を覗くと、結構繁盛している模様。バス通りだけど人通りはかなり少なく、桜木町と関内のちょうど中間ぐらいの立地の悪さに加え、初めて入るには微妙に勇気のいる外観なのに、やはりこの店は気になる。
しかし、その日は野毛に先約があったので、あきらめて後日再来を決め、1週間後、初訪問に至りました。
いざ初訪問
平日の20時過ぎに入店。
営業時間21時30分までと表の張り紙にありました。
先週はもっと早い時間だったけど、あんなに繁盛してたのに、この日はお客さんは1人もいなく、むしろ、もうこのまま閉店・・・な感じで、カウンター内で片づけをされている様子。
なんか、申し訳ないなと思ったのですが70代とおぼしき女将さんが出てきて、「大丈夫、どこでもお好きな席にどうぞ」といわれ、広々としたお座敷は遠慮して、カウンターに座らせてもらいました。
メニューを出されることもなく「お疲れさまセットでいい?」と聞かれ、二つ返事でお願いしました。
「苦手なものある?」
なんとなく気が付いていたけど、やはり、これからメニューを決めるらしい。
「鶏レバー大丈夫?」
一見さんなのに、ちゃんと好みまで聞いてくれる、気さくな感じがステキすぎる!
飲物は、エビスビール(グラス)、日本酒、焼酎から選べます。
ビールは苦手なので、日本酒をいただきましたが、かなり黄色がかっていて、一口飲んだ瞬間、あまり飲んだことのない癖のある味。
よく安い居酒屋で出てくる、大関とか松竹梅といったお酒とは、全然系統の違う味。
メニューを見せてもらったら、日本酒にはすべて”自然酒”っと書かれていました。
自然酒って何だろう?初耳でしたが、無濾過原酒みたいなものかな?っと勝手に解釈。
メニューにあるビールもオーガニックビールだったり、有機栽培の芋焼酎とか。
お得感ばかりに気を取られていて、途中まで気が付かなかったけど、自然食を売りにしたお店で、どうやら食材、調理法もかなりこだわっているようです。
おつまみ5皿の実体は?

一皿目 【自然食盛合せ】
ほどなくして1皿目の料理が運ばれてきました。
素朴なお惣菜の盛合せ。
切り干し大根2種、ほうれん草、ゼンマイ、ひじき、きんぴらごぼう、鶏だんご、里芋、にんじん、さつまいもと、定番のお惣菜全部のせ。
どれも、素材を生かした、私好みのやさしい薄味仕立て。
そして、まず、これを1皿と数えていいのか、悩む。
メニューには、”自然食盛合せ500円”とあるが、これと飲み物ですでに1000円になっちゃうじゃん。
5皿の中の1皿と数えるには、立派すぎる内容。

二皿目【ポテトサラダと鶏レバー】
ポテトサラダは酸味が効いてて、マヨ感薄め。甘辛い味付けのレバーとのバランスが良かったです。

3皿目【クロケット】
3皿目は、しっかりとした厚めで硬い衣の手造りの揚げたてコロッケ。
女将さんは「クロケット」と言ってた。
いい大きさのが2つも。なぜか色が随分違うけど、中身は多分同じ。
付け合わせは、スパゲティサラダ。グリンピースが時期的に冷凍物なんだろうけど、しっかりしてる。
旬のものを冷凍保存してたのかな?と思うような味でした。
途中、お店には1本の電話が・・・。
これから15人空いてますか?という電話だった模様。
閉店時間21時30分って書いてあったけど、その時点で20時半すぎ。
そもそも、閉店モードのお店にはアルバイトっぽい若い女の子と年配の女将さんだけしかおらず、そりゃ無理じゃ?と思ったのですが、無理じゃなかったらしく、了解してました。
さあ、大変だ。
「この後、15人くるから、ばたばたしちゃうから、先におにぎりの種類聞いとくね」とおにぎりのメニューを渡され、選びます。
おにぎり100円でもう1個追加も出来ます。
うめ、昆布、ゆかり、わかめ、ごま塩、おかかの中から、うめを選びました。

おにぎり【梅】
しばらくすると、おにぎりが運ばれてきました。
ご飯は玄米でガリが付いてます。
忙しさを物語っているのか、イヤに形がヘゴヘゴです(笑)
そして、写真で見えるぐらい、あら塩がかかっていて、塩辛い。
これまでの味付けを考えると、塩かけすぎちゃった、あるいはバタバタしてて、塩を2回かけたのだろう。
いつの間にか、お店にはもう1人70代とおぼしき年配女性の方が出勤してました。
女将さんがさっき電話かけてたのは、ヘルプを呼んでたんだと、納得。
21時近くに呼び出されてお仕事とは、なんという融通のききよう。
それにしても、ずいぶん近くに住んでるんだな。
品数の数え方はいまいちわからないけど、すでにおなかも満腹だし、十分満足いく内容だったし、おにぎりが出てきたので、当然、これで終わりなんだと思い、
若い店員さんに「お水かお茶もらえますか?」と声をかけたところ、
「お水とお茶どっちがいいですか?お茶は、緑茶かウーロン茶です」といわれ、緑茶をお願いしました。
嫌な予感がしたのですが・・・レジで有料と判明。
しかも2つと言っていないのに、連れの分と2つ運ばれてきた。
温かいお茶といえばよかったのか、そもそもお茶は有料なのか、まあ初めてのお店の勉強代と思うことにしました。
さて、団体客も入店し、そろそろ帰ろうかと思っていたところに、女将さん。
「今何皿出ましたっけ?」と数えだし、「これから、刺身とひややっこ冷や奴が出ますからね」
・・・・・・・・・・。
いや、まったく意味が分からないですから。
しばし、マジで固まってしまいました。
これから、冷や奴と刺身って!
明らかに順番間違ってるし、お酒飲んじゃったし、おにぎりも食べちゃって、もうおなかいっぱいだし。
もちろん、せっかくなので頂きましたけど。
お酒も追加しましたとも。
予想をはるかに超える驚愕のボリュームの5皿ということが判明です。

4皿目【ねぎとろとこはだ】
この価格で刺身までついてくるんですね。
ツマのわかめもしっかりしてるし、彩りにちゃんと緑も乗ってて、写真ではわかりにくいですが、わさびは葉っぱ型に盛られてます。

5皿目【冷や奴】
こちらもただ鰹節かけただけとかじゃないのは、感心するばかり。
普段使いに最適!めっちゃお得で、ホッとできるおすすめの料理やさん
タイミングはともかくとして、どの料理もきちんと手作り感があるおいしさで、きれいに盛り付けがされていて、その上、オーガニック食材を利用してるとなると、コストパフォーマンスがあり得ないレベル。
想像をはるかに超えるお店でした。
1500円でもまだ全然安いと思う。むしろ、利益が出ているのか心配になります。
初来店としては、デフォルトではない場面が多すぎて、普通な時に来ないと分かんない部分も多そうですが、リピート確実なお店なのは確か。
1人暮らしのサラリーマンとか、学生さんとかに、特におすすめしたいです。
一食でこの値段でこれだけの品目を食べさせてもらえるお店はなかなかないと思います。
気さくな女将さんで、アットホームな居心地もGOOD。
そして驚いたのは、客層。
普通に考えたら、年配のサラリーマンが会社帰りに利用するお店という趣なのに、この日お客さんは、リュックを背負った20代の学生さんっぽいお1人様と、前述の15人の団体さん。団体さんは会社帰りの年配のサラリーマンかと思いきや、入ってきてビックリ全員20代の若い男女の会社員さんでした。
女将さんが「最近はいいわねー。宣伝とかしなくても、インターネットとかでお客さんが来てくれるからねー」って言ってたけど、
きちんと価値のあるものを提供しつづけているからこそですね。
随分長いこと営業をされているようで、今まで知らなかったのを残念に思う穴場のお店に出会えて、ほくほくしてます。